受賞論文
The efficacy of sublingual immunotherapy for allergic rhinitis may vary with the time of day.
Igarashi S, Suzuki K, Nakamura Y, Ishimaru K, Fukano C, Masuyama K, Ohashi-Doi K, Nakano A.
Int Arch Allergy Immunol 2016; 171(2): 111-118.
受賞者
五十嵐 賢
山梨大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科
受賞の挨拶文
[su_row][su_column size=”1/5″ center=”no” class=””]
[/su_column]
[su_column size=”4/5″ center=”no” class=””]
この度は輝かしい賞を頂戴し光栄に思い、感動しております。
今回の名誉にあずかりましたのも、研究を指導してくださった本学免疫学講座の中尾篤人先生、当科前教授の増山敬祐先生、現教授の櫻井大樹先生、ならびに同僚の先生方のご支援とご指導の賜物と存じ、深く感謝しております。
この気持ちを忘れず、花粉症、アレルギー性鼻炎に対する研究、臨床に少しでも貢献できるよう頑張りたいと思います。
[/su_column][/su_row]
論文要約
アレルギー反応は免疫応答の一つであり、体内の免疫応答は概日リズムを形成している可能性がある。SLITによりアレルゲンを投与することで、アレルゲンに対する免疫応答を特異的に抑制する免疫応答が働くと考えられるが、そこに概日リズムが存在する可能性が推測される。本研究ではアレルギー性鼻炎モデルマウスを用いて、マウスの概日リズムにおける、活動期もしくは休息期にSLITを行い、各免疫学的パラメータ、くしゃみ・鼻かきの症状を測定することで投与時間帯による免疫応答および治療効果の違いについて検討を行った。その結果、Ovalbuminを抗原としたアレルギー性鼻炎モデルで、総IgE抗体価とOVA特異的IgE抗体価は活動期よりも休息期のSLIT群において有意に抑制され、くしゃみ・鼻かきの各症状についても同様の傾向がみられた。顎下部リンパ節の制御性T細胞はコントロールと比較して休息期のSLIT群において増加がみられた。舌下投与後の顎下部リンパ節細胞における抗原取り込みは休息期の投与群において亢進がみられた。以上本研究より、休息期にSLITを行う方が免疫寛容をより強く誘導し症状を抑制する可能性が示唆された。
授与式
10月10日、順天堂大学で行われた第59回日本鼻科学会の時に、2019年度、奥田記念花粉症学等学術懸賞財団の授与式が行われた。当日は受賞者の五十嵐賢先生が来られなかったため、山梨大学の上司である櫻井大樹教授に贈呈された。